消化器科(外科・内科)・肛門科
当科では、腹痛、嘔吐、下痢、食欲不振、下血、便秘などの消化器症状の検査、診断、治療を行います。また、肛門疾患に関する手術や鼡径ヘルニアに対する腹腔鏡下手術も院内にて実施可能でございます。術後のリハビリも積極的に行い、特に金沢大学附属病院と連携し、機能改善を目指しています。 さらに、胃カメラ、大腸カメラ、腹部超音波検査も実施し、胃・大腸ポリープの内視鏡切除も行っております。
対象疾患と診療内容
消化器外科疾患
鼠径ヘルニア
鼠径ヘルニアは、いわゆる「脱腸」と呼ばれる病気で、足の付け根にふくらみが現れるのが特徴です。初期は違和感や軽い痛みだけですが、放置すると腸が締め付けられて血流が途絶える「嵌頓(かんとん)」という危険な状態になることがあります。当院では腹腔鏡手術など、症状や年齢に合わせた治療法を提案します。入院期間を短くし、早期の社会復帰ができるよう工夫しています。
肛門疾患(いぼ痔・切れ痔・痔ろう・直腸脱)
痔は日本人の多くが経験する身近な疾患ですが、恥ずかしさから受診をためらう方も少なくありません。当院では、患者さんのプライバシーに十分配慮しながら診察・治療を行っています。いぼ痔(痔核)や切れ痔(裂肛)は、生活習慣の改善や薬物療法で軽快することもありますが、進行した場合には日帰り手術にも対応しています。痔ろうは自然治癒が難しく、根治には手術が必要です。また、直腸脱は高齢者に多い病気で、生活の質に大きな影響を与えるため、適切な外科的治療を行います。
虫垂炎(盲腸)
虫垂炎は、右下腹部にある虫垂という臓器に炎症が起こる病気で、いわゆる「盲腸」と呼ばれるものです。主な症状は右下腹部の痛み、発熱、吐き気などで、進行すると腹膜炎に至ることもあります。当院では、抗菌薬や点滴による内科的治療を行い、症状の改善を図ります。軽症例ではこれにより回復することもありますが、根治のためには手術が必要となる場合があります。
手術が必要と判断された際には、外科手術に対応できる地域の医療機関へ速やかにご紹介いたします。当院は、患者さんの状態を的確に評価し、最も適した医療につなげることを重視しています。
大腸憩室症(憩室炎)
大腸憩室症とは、大腸の壁に小さな袋状のふくらみ(憩室)ができる病気です。多くは無症状のまま経過しますが、炎症を起こすと「憩室炎」となり、腹痛や発熱、便通異常、血便などの症状が現れることがあります。軽症の憩室炎であれば、抗菌薬の投与・点滴・食事制限などの内科的治療で改善することが多いため、当院ではまずこれらの治療を行います。
しかし、炎症が強く穿孔(腸に穴が開く)や膿瘍形成、大量出血など重症化した場合には、外科手術が必要となることがあります。その際は、適切な手術治療が可能な医療機関へ速やかにご紹介いたします。当院は、患者さんの状態に応じて最も適した医療につなげられるよう、地域の基幹病院と連携をとりながら診療を行っています。
消化器内科疾患
消化器癌(胃癌・大腸癌・膵臓癌・胆管癌・胆のう癌・肝臓癌・食道癌など)
消化器に発生するがんには、胃癌・大腸癌をはじめ、膵臓癌、胆管癌、胆のう癌、肝臓癌、食道癌などさまざまな種類があります。これらのがんは、日本人に多くみられる疾患であり、早期発見・早期治療がとても重要です。当院では、内視鏡検査や CT・MRI などの画像診断を用いた早期発見に力を入れています。また、症状や進行度に応じた内科的治療(薬物療法・点滴管理・栄養管理など)や緩和ケアを行い、患者さんとご家族の生活の質を大切にしています。
一方で、根治のために外科的手術が必要となる場合があります。当院では手術を行っていないため、専門的な外科治療が可能な地域の基幹病院へ適切にご紹介いたします。術後の経過観察や再発予防、療養支援については、引き続き当院でフォローを行います。
胆のう結石症・胆のうポリープ
胆のうに結石ができると、右上腹部の痛みや発熱、吐き気などの症状が現れることがあります。無症状のまま経過することもありますが、急性胆のう炎や胆管炎など重症化することがあるため、適切な診断と治療が重要です。当院では、症状に応じた内科的治療や点滴・投薬による入院管理、定期的な画像検査による経過観察を行っています。
胆のうポリープについては、多くは良性ですが、大きさや形状によっては悪性化の可能性が否定できません。そのため、当院では超音波検査などで定期的に経過を観察し、必要に応じて専門的な手術治療が可能な医療機関へご紹介いたします。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍
胃や十二指腸に潰瘍ができると、みぞおちの痛み、食欲不振、吐血や下血がみられることがあります。原因の多くはピロリ菌感染や NSAIDs(消炎鎮痛薬)の使用です。当院では内視鏡による診断を行い、除菌療法や薬物治療を中心に対応しています。
炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)
これらは自己免疫の関与が考えられる慢性の腸疾患で、下痢・血便・腹痛が長く続くのが特徴です。当院では内科的治療を基本とし、重症例や合併症がある場合には地域の高度医療機関と連携して治療にあたります。
膵炎(急性膵炎・慢性膵炎)
急性膵炎は激しい上腹部痛や発熱を伴い、重症化すると命に関わることもあります。慢性膵炎では長期的な消化障害や糖尿病を引き起こすことがあります。当院では CT や血液検査による迅速な診断と、内科的治療・栄養管理を行っています。
疾患ごとの対応範囲
| 疾患 | 当院でできること | 必要な場合の対応 |
|---|---|---|
| 鼠径ヘルニア | 診断、外科的手術(腹腔鏡手術・従来法)による治療、術後フォロー | 重症例や合併症を伴う場合には、高度医療機関へ紹介 |
| 肛門疾患 (いぼ痔・切れ痔・痔ろう・直腸脱) |
診察、薬物療法、生活習慣指導、日帰り手術や入院手術による治療 | 難治例や再発例などで高度な治療が必要な場合は、専門病院へ紹介 |
| 虫垂炎(盲腸) | 抗菌薬投与、点滴管理、状態の観察 | 根治のための手術が必要な場合は、外科手術対応が可能な病院へ紹介 |
| 大腸憩室症(憩室炎) | 軽症例への内科的治療(抗菌薬・食事制限・点滴など) | 穿孔・膿瘍形成・大量出血など重症例は、手術可能な病院へ紹介 |
| 消化器癌 (胃癌・大腸癌・膵臓癌・胆管癌・胆のう癌・肝臓癌・食道癌など) |
内視鏡・CT・MRIなどによる診断、薬物療法、栄養管理、緩和ケア、術後フォロー | 外科的手術が必要な場合は、地域の基幹病院へ紹介 |
| 胆のう結石症・胆のうポリープ | 内科的治療(点滴・投薬による症状コントロール)、経過観察(超音波検査など) | 手術が必要な場合は、専門医療機関へ紹介 |
| 胃潰瘍・十二指腸潰瘍 | 内視鏡検査、ピロリ菌の診断と除菌療法、薬物療法による治療 | 出血や穿孔など重症例は、手術対応可能な病院へ紹介 |
| 炎症性腸疾患 (潰瘍性大腸炎・クローン病) |
内科的治療(薬物療法・栄養療法)、内視鏡による経過観察 | 重症例や合併症を伴う場合は、高度医療機関へ紹介 |
| 膵炎 (急性膵炎・慢性膵炎) |
血液検査・画像診断による評価、内科的治療(点滴・栄養管理・薬物療法) | 重症化した場合や外科的治療が必要な場合は、専門病院へ紹介 |
医師紹介
松村 昭宏Matsumura Akihiro
専 門
消化器外科全般
経 歴
- 1993年
- 金沢大学 医学部医学科卒
資 格
日本外科学会認定医
所属学会
日本外科学会
日本消化器外科学会
日本消化器内視鏡学会
日本臨床外科学会
日本癌治療学会
日本乳癌学会
黒阪 慶幸Kurosaka Yoshiyuki
専 門
消化器外科(大腸、肛門)
資格・所属学会
日本外科学会専門医
日本消化器外科学会専門医・指導医
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
日本消化器外科学会消化器がん外科治療認定医
経 歴
- 1986年
- 金沢大学医学部 卒業
- 1984年
- 金沢大学医学部附属病院 第2外科 入局
金沢大学医局人事により複数の関連病院へ異動
- 2002年
- 金沢医療センター 外科医長
- 2013年
- 加賀市医療センター 診療部長
- 2022年
- 同センター 副院長
- 2025年
- 金沢古府記念病院 入職
アクセス・診療時間 Access / Clinic hours
住所
金沢古府記念病院
〒920-0362 石川県金沢市古府1丁目150番地
診療時間
| 診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日祝 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 09:00 〜 12:30 | |||||||
| 14:00 〜 17:30 |